こんにちは。今回は、解体現場でたまに聞かれる「出物(でもの)」について、実際の現場感を交えてお話しします。
■ 出物(でもの)とは?
出物とは、解体作業中に見つかる使えそうなモノ、価値のありそうなモノのことです。
業務用機器、古道具、非鉄金属、工具、家具、書物、アンティークなど…
いろいろなものが出てくることがあります。
ただし、現場によって出物の傾向は大きく異なります。
■ 大型物件では「出物ゼロ」も珍しくない
たとえば、大型の店舗、オフィスビル、賃貸アパートなどでは、
解体前に中のものがほぼすべて撤去されており、出物と呼べるようなものはほとんど出てきません。
出てくるのは段ボールや残置ゴミが大半。
金目のものを期待するような内容ではなく、実際には「出物っていうより粗大ゴミだな…」というのが正直なところです。
■ 木造解体では意外と出てくることもある
一方で、木造住宅や古民家の解体現場では、出物が出ることが珍しくありません。
・古い工具
・骨董品っぽい家具や棚
・鉄くず・銅線などの非鉄金属
・使われずに残っていた家電や設備
・昔の切手や古銭などコレクター品っぽいもの
職人経験が長い人ほど、「昔、こういうの見たことあるな」というエピソードがあると思います。
■ でも、出物は勝手に処分していいの?
ここが大事なポイントです。
建物内にある物はすべて、原則として発注者様の所有物です。
たとえ見つけたものに価値があっても、勝手に持ち帰ったり処分するのはNG。
正しい対応は:
・金目のものを見つけたらすぐ報告
・写真に撮って発注者(または元請)に確認
・「廃棄でOK」との明示があるまでは触らない
現場で見つかった古い現金や通帳、貴金属がニュースになることもありますが、対応を間違えるとトラブルや信用問題に発展しかねません。
■ 出物を扱う業者の姿勢が問われる
誠実な解体業者は、出物があった際には必ず施主に確認を取り、書面や口頭で了承を得たうえで処分・回収・売却などの判断をします。
非鉄金属のスクラップ回収にしても、数量・重量・売却額などを明記して報告する会社もあります。
「どうせ捨てるんでしょ?」ではなく、「お預かりしているもの」という意識が重要です。
■ まとめ
出物(でもの)は、解体業界の中でも“ちょっとした話のネタ”のような扱いをされることがありますが、
実際にはとても慎重な対応が求められる部分でもあります。
特にこれから施工管理職や責任ある立場を目指す人にとっては、
出物の扱いひとつでも「信頼を守れるか」が問われる大事な対応のひとつです。
現場に出ていると、こうした「細かいけど大事なこと」の積み重ねで、
仕事の信頼ってできていくんだなと感じます。
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